株主・投資家の皆様へ

 日用品の相次ぐ値上げで生活コストが増えているからこそ、安くて品質の良い住宅を求める声に応えることに注力した1年となりました。

 「この街に、ひとつでも多くの喜びを。」というパーパスの実現に向けて、当社グループが与える社会的な好循環のインパクトをひとつずつ増やしてまいります。

低価格帯の住宅には、想像していた以上にニーズがあることを実感

 円安や資材価格の高騰に起因して、日用品の相次ぐ値上げにより人々の暮らしが苦しくなる中で、今まで以上に住宅の販売価格を重視するお客様が増えたと感じています。そのため、中古住宅の古い家財を処分した後のリフォーム工事は、お客様のニーズに合わせて限定的にすることでリフォームコストを抑え、リーズナブルな価格で住宅を提供する取組みを行ってまいりました。具体的には、2階のフローリング交換を控えたり、ユニットバスやキッチン等の高額な水回り設備は交換せずにクリーニングで代替したりと工夫を行いました。この取組みは、フルリフォームの販売価格だと予算をオーバーしてしまうというお客様のニーズに応えるだけでなく、ご自身でリフォームをしたいというお客様のニーズも開拓することができ、お客様のご予算・目的に合わせた販売プランを見出すことができました。

2024年3月期の振り返りと2025年3月期に向けて

 2024年3月期は、当社グループは7,169件の住宅を販売し、売上高1,267億円、営業利益126億円となりました。営業利益は、前年度比で9.9%の減益となっていますが、これは2023年5月に国税当局に対して提起した消費税に関わる更正処分等の取消しを求める第1審判決に敗訴したことに伴い、消費税等差額を販売費及び一般管理費に約21億円計上したことが原因です。当影響がなかったと仮定した調整後営業利益は147億円と前年度比で5.0%の増益となります。

 2024年3月期は、戸建て住宅業界が新型コロナウイルス感染症の沈静化に伴い需要が低迷し、厳しい事業環境となりました。しかし、当社グループは、低価格の住宅を提供したり、営業社員の採用と育成に一層注力したり、生産性向上のためのマーケティングツールを導入したりという企業努力により成長を実現することができました。

 2025年3月期も生活コスト上昇等により、引き続き戸建て住宅業界は厳しい事業環境になることが予見されます。しかしながら、当社グループは、2024年3月期に行った以上の企業努力と営業現場による創意工夫を重ねることで、売上高1,345億円(+6.1%)、営業利益140億円(+10.5%)、調整後営業利益162億円(+9.8%)を目指してまいります。

事業を通じて社会に良いインパクトを与え、パーパスを実現する

 私たちの事業は、安くて品質の良い住宅の提供だけでなく、「活用されない空き家の活用」「中古住宅の流通量の増加」「CO2削減や自然環境に配慮した住宅の提供」「地方経済の活性化」などの社会課題に対して良いインパクトを与えていると考えております。これらの社会課題を解決することは資源や経済活動の「循環型社会の実現」や人々の幸福と社会の良好な状態を目指す「Well-beingの向上」につながり、その先には我々のパーパスが実現できると考えています。

 私たちの事業活動に共感いただける皆さまが株式を長期で保有され、パーパスの実現を支えてくださることを願っています。


株式会社カチタス 代表取締役社長 新井健資